日本コラージュ療法学会

  • 学会名
  •   日本コラージュ療法学会

     

  • 基本情報
  •   設立年  2009年3月
      会員数  183名(2022年2月現在)
      代表者名 森谷寛之

     

     

  • 学会誌名
  •   コラージュ療法学研究(年1回)

     

  • 学会紹介
  •  2009年,日本生まれの学会である。海外で「コラージュ療法学会」と称するものは寡聞にして知らない。 
    従来,わが国には箱庭療法,絵画療法などさまざまなアートが心理療法として活用されてきた。コラージュ(collage)とは,「糊(膠)による貼り付け」という意味で,1900年代初めにピカソらによって現代美術に広く取り入れられてきた。しかし,今日から考えると不思議に思えるが,日本の学界でこの方法がアートセラピーとして,きわめて有意義であるという認識は共有されていなかった。
    森谷寛之(当時:愛知医科大学)は箱庭療法が使えない場所でもそれに匹敵するほど有効な方法を探していた。1987年5月,友人との対話の中で思いがけずコラージュの価値を再発見した。
    ヒントになったのは,哲学者中村雄二郎が河合隼雄と箱庭療法をめぐる対話(『トポスの知』1984)の中で述べた発言である。
    「箱庭療法の本質はレディ・メイドの組み合わせである」。
    すなわち,(自分で作ったものではない)できあいの玩具を自由に組み合わせることによって,無意識が表現可能となる,フロイトの自由連想法や夢分析と同じ意味を持ち,心理療法的効果をもたらす。
    森谷は「立体のレディ・メイドの組み合わせ(箱庭)が有効であるなら,平面のレディ・メイドの組み合わせ(コラージュ)も有効であるに違いない」と考えた。ここからコラージュ療法が誕生した。
    この中村の発言は,河合隼雄との対話中に生まれた。河合が中村の発言を引き出した功績は記憶されるべきであろう。
    不要になった絵や写真など既成のイメージ素材を切り抜き,集め,台紙の上で再構成し,貼り付ける遊びである。表現意欲の乏しい人や幼い子どもから老人までも,誰でもできる。すぐに事例に適用し,その効果を確認し,理論化し,1987年12月に公式に学会発表した。
    本法は、その技法の簡便さ,明確さ,有効性,適用範囲の広さから急速に普及してきた。医療、教育、福祉、司法など幅広い分野の心理臨床家によって追試され,次々と実践事例,調査研究が報告されるようになった。1992年より全国各地に次々と自発的な研究会が生まれた。2008年末に有志が集い,本学会の設立に至った。本学会の設立により,相互研鑽が高まり,論文の質が飛躍的に向上した。

     

     

  • 学会からのメッセージ
  •  ひとは誰から教えられなくても,自然に「切り貼り遊び」をしている。しかし,その遊びが心理療法として広く適用でき,価値があるとはなかなか気づかない。それはちょうど誰もが「砂遊び」をしても,「砂遊び療法(箱庭療法)」に気づかないのと同じです。「インクの染み」を見ても,ロールシャッハ・テストを発見できないのと同じ。
    最近,本療法の価値を,精神科医の方からも評価されるようになりました。
    藤山直樹・笠井清登編(2020)『こころを使うということ−今求められる心理職のアイデンティティ』の中で,「心理職に求められるプロフェッショナルな素養」として,@精神分析,A投映法心理テスト,Bコラージュ療法,C認知行動療法が挙げられています。
     コラージュ療法の方法は単純,明確で,かつ応用範囲の広い技法です。初心者が心理療法や投映法アセスメントに取り組む時,まず,最初に取り入れるのによい方法と考えます。一度,ぜひ試して見てください。
    しかし,やってみても,それでもなおその価値を十分に理解できないかも知れません(インクの染みがいったい何だ!)。それが何を意味しているのか,多くの人の目で吟味,検討する必要があります。そのためにはぜひ本学会で発表してみて下さい。その価値に気づくことになるでしょう。そしてそれが心理職のアイデンティティのひとつとなるでしょう。

     

     

  • 学会ホームページURL
  •  https://www.kinjo-u.ac.jp/collage/

     


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